短期入所と日中活動系サービスを同日に併用したときの報酬は? 短期入所の基本報酬(Ⅰ)(Ⅲ)と(Ⅱ)(Ⅳ)の解釈
【本記事で言及する通知(Q&A)は次のリンクからダウンロードできます:@Dropbox】
現在の福祉型短期入所サービスの基本報酬は、報酬が高い(Ⅰ)&(Ⅲ)と報酬が低い(Ⅱ)&(Ⅳ)の大きく2つに分かれています1。
- (Ⅰ)と(Ⅲ):日中を通してサービスを提供したときに算定する。以下、日中型といいます。
- (Ⅱ)と(Ⅳ):日中にサービスを提供せず、主に夜間や朝方の短時間サービスを提供したときに算定する。以下、夜間型といいます。
報酬告示や留意事項通知には、日中活動系サービスを併用した日は夜間型の報酬を算定するものと定められています。しかし、日中活動系サービスを併用していない日はすべて日中型の報酬を算定できるわけではありません。次のQ&Aに基づき運用による取り扱いが定められています。
- 平成21年4月1日「平成21年度障害福祉サービス報酬改定に係るQ&A(VOL.2)」 問12-1
- 平成21年4月30日「平成21年度障害福祉サービス報酬改定に係るQ&A(VOL.3)」 問9-2
Q&Aの記載をまとめると、次のとおりになります。
- 日中を通してサービス提供をしていない場合は夜間型の報酬を算定する。
- 日中にサービスを提供したか否かは主に昼食の提供をもって判断する。
- 昼食の提供を行っていない場合でも実態により日中型の報酬算定が可能。
たとえば、短期入所を利用した翌日の朝に特別支援学校に通学し、その後自宅に帰宅した場合はどうでしょう。同日に日中活動系サービスを利用したわけではありませんが、短期入所側は昼食の提供をしておらず、実態としても短時間のサービス提供に当たるため、翌日分については夜間型の報酬を算定します。
ときに、過去のQ&A2に基づき、「日中活動系サービスを利用した日は真にやむを得ない事由がある場合を除いて短期入所の報酬は算定できない」と誤解されることがあります。しかし、このQ&Aは夜間型の報酬が定められていなかった時期の報酬告示に基づく規定です。平成21年度の報酬改定で夜間型の報酬が創設され、現在このQ&Aは適用されないためご安心ください。
ちなみに、短期入所事業所に宿泊せずに帰宅する、いわゆる日帰り利用はできるのでしょうか? 医療型特定短期入所については日帰り用の報酬3があるため可能ですが、逆に報酬規定がない福祉型は原則として不可と推定されます。
体調不良などのやむを得ない理由で日帰りになった場合に報酬算定が可能なのか厚生労働省は明言していません4。福井県のように「事業所の責に寄らない場合は算定可能5」と解釈している自治体も確認されています。不可と判断する自治体もありうるので、利用者と事業者が地域生活支援事業の日中一時支援の支給決定と事業所指定を受けていれば、日中一時支援の報酬を算定するのが一番安全でしょう。
- なお、(Ⅰ)と(Ⅱ)は障害者が対象、(Ⅲ)と(Ⅳ)は障害児が対象。[↩]
- 平成19年12月19日「障害福祉サービスに係るQ&A(指定基準・報酬関係)(VOL.2)」問2、平成20年1月31日「障害福祉サービスに係るQ&A(指定基準・報酬関係)(VOL.2)の留意事項について」、平成20年3月31日「障害福祉サービスに係るQ&A(指定基準・報酬関係)(VOL.3)」問5[↩]
- 医療型特定短期入所サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)に「日中のみの指定短期入所を行った場合に」とある。[↩]
- 令和3年4月施行分の実績記録票の記載例から「日中のみの利用の場合、「日中のみ」を記載する」とありますが、医療型を想定しているのでしょうか?[↩]
- 時期不明「指定基準、報酬等にかかるQ&A(報酬・加算等)」(福井県)[↩]